新型コロナウィルス感染拡大に伴う対応実務について(賃貸管理編)

一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会より出されているQ&Aをご紹介させて頂く形で講義をすすめさせて頂きます。

Q&Aは全宅管理の顧問弁護士のアドバイスにより作成されたものです。またQ&Aは管理会社としてどう対応すべきかを回答しています。

①管理物件の入居者が新型コロナウィルスに感染したことが判明した場合の対応について

A:現状においては、感染者のプライバシーに配慮し、告知する必要はないと考えられる。貸主に対しては、管理受託契約に基づく報告義務の対象となる場合がある。

②共用部分を消毒する場合の費用負担についての考え方について

A:物件の所有者が厚生労働省が指定する方法に従って適切に物件の消毒を行う義務があると考える。したがって物件の所有者が費用を負担すべきと考えます。

③感染していた入居者が退去することになりました、部屋の消毒費用を入居者へ請求しても大丈夫ですか?

A:賃貸借契約において、原状回復に関する特約がない場合には、物件の所有者(貸主)の負担になると考えられる。

④前入居者が新型コロナウィルスに感染していたことを告知する必要はありますか?

A:厚生労働省が指定する方法に従って適切に物件の消毒を行っている限り、次の入居者へ告知義務を否定的に解されるのではないかと考えられる。ただし、当該物件の入居者が集団感染した場合など物件の消毒のみでは感染症を防ぎきれなかったといった事情があった場合には告知義務が生じる可能性があると考えられる。

⑤管理物件の入居者が新型コロナウィルスに感染しているのはではないか?との連絡がありました。管理会社として注意すべき点を教えてください。

A:入居者間のトラブル、プライバシーに配慮し入居者に対して注意喚起を促すことも対応の1つと考える。

⑥新型コロナウィルス感染拡大により、設備機器部品の不足により修理に時間がかかり、入居者からお風呂代の請求をされました。

A:本来貸主が必要な修繕を行わなかった場合には、修繕義務違反を問われることになりえますが、本ケースにように修繕しようとしてもできない場合には、過失はありませんので債務不履行責任を生じないものと考える。

※過失がないことの立証が難しいため、入居者と誠意をもって話し合い折り合いをつけるしかないと思う。

⑦新型コロナウィルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言が出されたことで飲食店等のテナント賃料の支払い猶予や減額等の要望があった場合の注意点、確認すべき点等教えてください。

A:賃料の一定期間の支払い猶予や減額をする際には、経済状況が回復した際の支払い義務の有無を明らかにするとともに、賃料の支払い猶予や減額をする期間を明確にする必要がある。

※減額や猶予を行う際には、その期間や金額などを覚書など書面を取り交わして行うことが必要である。

★新型コロナウィルス感染拡大に伴う賃料の減免や支払い猶予に関して「不動産投資家」の方々がYouTubeに動画をあげておりますのでご紹介いたします。

ウラケン不動産【浦田健公式】2020年4月28日公開
〇大家は悪か?家賃減額の要求に安易に応じてはいけない。
https://www.youtube.com/watch?v=SlbUNN_Wx7g&t=877s
※動画の視聴時間は約17分です。
動画の概要:
安易に値引きをしてはいけない、減免をして欲しいのならば再建プランを家主に示すべきである。
まずは公的資金のすべてを利用して対応してもらうべきである。
家賃を滞納してから立ち退いてもらうのは難しい、10か月以上かかる場合もある。
裁判の間は家賃が入ってこないため、1年分以上の損害が出る可能性もある。
家賃減免の期間と万が一支払いが困難になった場合の立ち退き合意の覚え書を取り交わすこと。

楽待チャンネル2020年4月13日公開
〇緊急取材、闘う弁護士・堀鉄平に聞く、入居者の家賃滞納や減額請求に大家はどう対応すべき?
https://www.youtube.com/watch?v=DgpclQelEhQ
※動画の視聴時間は約10分です。
動画の概要:
コロナショックによる不動産事業への影響は?
融資に影響は出ているのか?
入居者の家賃滞納、減額請求にどう対応しているのか?

減額請求に対しては、裁判所を通して申し立てしてきてほしい。契約通りの対応をするべきである。
実際にどう対応すべきかはオーナーの経営判断で決めるべきである。預かっている保証金の内容などを基に総合的に判断すべきである。また減額などをする場合には、合意書を取り交わしてプレッシャーをきちんとかけておくべきである。
この機会に定期借家契約に切り替えるのも方法としてはある。

★動画内容まとめ
賃料の減額請求や猶予の相談があった場合には、まず補助金や融資など行政が行っている公的資金の活用をすすめるべきである。その情報を提供するために管理会社及び貸主は情報を知識として集めておく必要がある。

減額や猶予に応じるかどうかは、日ごろの付き合いの度合いや景気回復後の動向などを踏まえ総合的に判断するべきである。国や行政から柔軟に対応してほしいと要請がきているもののその言葉通り対応してはならない。

減額や猶予に応じる場合には、金額や期間を明記した書類を取り交わすこと、そしてその内容をやぶった場合には退去する旨の内容も盛り込んでおくこと。

定期借家に切り替えるなども方法としてあるが、どうするのかは貸主の経営判断で決めるべきである。

※全宅管理から出している覚え書のサンプルを画像ファイルで添付しましたが、画像が粗くてみずらいため別途全宅管理の書式ダウンロードよりご確認ください。

家賃の減額・猶予に関する各社の対応状況

〇大東建託グループ
管理する賃貸建物に入居中の個人や法人で新型コロナの影響による減収で賃料の支払いが困難になった場合、賃料の支払いを猶予する。対象の賃料は家賃、駐車場代、共益費、自治会費。3か月を上限に猶予する。申請期限は6月末。申請時から最長2年間の分割払いができる。

〇大和ハウスグループ
管理受託している賃貸住宅で賃料の支払いを猶予する。上限は3か月、対象は家賃、駐車場代、共益費、最長で2年間の分割払いができる。

〇APMANグループ
新型コロナの感染拡大の影響で倒産や人員整理によって寮の退去を余儀なくされ住まいを必要とする人に向け、同グループに物件を12月末まで無償提供する。再就職が決まった場合は入社月の月末まで無償とする。東京都や大阪府などにある13都道府県の約200室のワンルームを用意した。水道代や光熱費は自己負担となる。

〇レオパレスグループ
管理物件で賃料の支払いが困難な入居者に個別に猶予措置を取っている。申し出た入居者へ個別に柔軟に対応する。

三菱地所や森ビルなどもテナントの退去撤退を防ぐため、個別の賃料の猶予や減免を行っている。

※日経産業新聞より抜粋しました。